illion 『UBU』

この作品はRADWIMPSのボーカル野田洋次郎がillion名義で2013年にリリースしたソロプロジェクトのデビュー作です。

バンドというフォーマットに囚われず、自由にやりたい音楽をやっているという印象を持ちました。

その中でも、雅楽や日本古来の音楽的、文学的アプローチを色濃く感じました。このアルバムのリード曲である『MAHOROBA』、そして『GASSHOW』では歌詞が古文体で書かれていたり、『AIWAGUMA』では古代の音楽を想起させるような楽器が使われていたりと、古き日本文化を海外に向けて発信したいといったような意図があるのではないでしょうか。

それと同時に『BEEHIVE』といったような洋楽風な横ノリの曲があったり、緩やかなラブソング『HIRUNO HOSHI』など、野田洋次郎の音楽的ボキャブラリーの広さを感じます。

また、それを彼自身の流暢な英語で歌うことによって海外の人たちに対しても説得力を持つ作品に仕上がっているのではないかと思います。

これはなかなかできることではなく、帰国子女であるというアドバンテージであり彼にとっての表現の武器になっていると感じます。

先ほど挙げたように様々なテイストの音楽がありながらも、聴いていて難しいとは感じず、リスナーにとってすべての曲を口ずさむことができるというポップさも、類いまれなる才能を持ったメロディーメーカーであるというあかしだと思います。

今後、このillionというプロジェクトがどのように海外の人たちに受け入れられていくのだろうというのは非常に楽しみなところです。